お米にタンパク質がたくさん入っていると、炊飯した時に美味しいご飯にならないとか、お酒を作る時に良くないとか、日本では言われています。しかし、タンパク質をあんまり食べない国々の人々にとっては、穀物のタンパク質は重要なタンパク源です。この研究は、イネが持っているグルタミン酸を合成する遺伝子がダメになってしまった時に、お米に含まれるタンパク質はどうなってしまうのかということを研究しました。お米のタンパク質は減るかと思いましたが、実際は増えてました。グルタミン酸が合成できなくなると、イネの体も小さくなりますが、それ以上にイネが作れるタネの数がガクッと減ってしまいます。イネはタネの数が減ってしまったので、一粒一粒のタネに多めにタンパク質を配分したのでしょう。タンパク質やアミノ酸が増えるといっても、収量がガクっと減ってしまいますので、タンパク質が増えてめでたしめでたしというわけにはいきませんでした。お米のアミノ酸やタンパク質が多いと、紹興酒を作るとか、みりんを作るとかといった時には有利になるかもしれません。私の研究は、Plant ScienceやAgronomyに分類される雑誌に投稿することが多いのですが、この論文は初めてFood Scienceに分類される雑誌に受理された論文となりました。
Imagawa, F., Minagawa, H., Nakayama, Y., Kanno, K., Hayakawa, T. and Kojima, S. (2018) Tos17 insertion in NADH-dependent glutamate synthase genes leads to an increase in grain protein content in rice. Journal of Cereal Science, 84, 38-43.
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