シロイヌナズナの遺伝的多様性に潜むアンモニウム環境への適応機構
シロイヌナズナは世界のあちこちに自生する植物です。自家受粉によって子孫を残します。その土地で生育してきたシロイヌナズナは、その土地の環境に適応しています。適応の過程で選択圧がかかり、ゲノム情報が変化していきます。世界のあちこちからシロイヌナズナを集めてアンモニウムを窒素源として栽培すると、アンモニウムをよく利用して生育できる環境型とアンモニウムで生育が阻害される環境型があることがわかりました。アンモニウムが苦手なコロンビア型(Col)はアンモニウムが培地にあると主根を伸ばしますが、アンモニウムが得意なランズバーグ型(Ler)は主根の伸長を止めて側根を伸ばします。ColとLerを人工授粉によって掛け合わせた系統をたくさん栽培して、アンモニウムに対する根の応答性とゲノム情報を関連づけしました。シロイヌナズナのゲノムの中で、アンモニウムに応答した根の形態の違いを決定づけるゲノム領域がわかりました。
Sasaki, K. and Kojima, S. (2018) Identification of genomic regions regulating ammonium-dependent inhibition of primary root length in Arabidopsis thaliana. Soil Science and Plant Nutrition, 64, 746-751.

Lima, J.E., Kojima, S., Takahashi, H. and von Wiren, N. (2010) Ammonium Triggers Lateral Root Branching in Arabidopsis in an AMMONIUM TRANSPORTER1;3-Dependent Manner. Plant Cell, 22, 3621-3633.
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